松尾大社で出会ったおじさまの話

山吹に呼ばれて松尾大社へ

私は黄色い花が大好きです。
いろんな花が咲いている場所にいても
やたら黄色い花ばかり撮ってしまう。

たんぽぽもロウバイも黄色いチューリップもバラもかわいい。
ついでにとうもろこしもかわいいと思う。

とか言いながら、
それまで存在を全然知らなかったのが山吹の花。

絵の具にある「やまぶきいろ」のやまぶきって、
山吹の花のやまぶきだったんですね。

山吹まつりが開催されるほど
見事な山吹が咲きほこると聞いて、
京都の松尾大社へ向かった昨年4月のお話です。

おじさまとの出会い

少し見ごろは過ぎてしまっていたけれど、
散った花びらもまたあざやかな黄色でとても美しい。

そこここに咲く黄色と
緑や朱色とのコントラストも元気が出るし、
境内は広くお庭も落ち着いていてとっても良い雰囲気。

あー満喫したわー
もう3時間くらい経ったかしら、そろそろ帰ろうかな。

と思っていたところに、
ふとおじさまから声をかけられました。
とても立派なカメラをお持ちになっています。

「今日は朝からずっとここに居て…」
お、なになに、何のお話しです?

「みんな黒い服だからそれだとダメで…」
私は黒い服ではないからOKということ?何が??

なんの気なしに通りすがりの私に
日常会話を持ちかけただけかと思ったのですが、
どうやら写真のモデルになってほしいというご依頼のようでした。

スパルタ撮影会

こういうとき、
「え、やだ、こわい」
と全く思わないのが私。面白そうすぎる。

聞けばそのおじさま凄腕のアマチュアカメラマンらしく、
これまでにも様々なコンテストに入賞経験があるのだとか。
松尾大社にもしょっちゅう撮影に来ているようで
さすがロケハンも私への指示も完璧。

「橋の欄干に手をかけて」
パシャパシャ
「橋から川をのぞき込むように」
パシャパシャ
「もう少し手の幅を広げて」
パシャパシャパシャ
「右足を少し引いて、つま先を立てて」
パシャパシャ
「もう少しのぞき込んでみて」
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ

シャッター切りまくりのおじさまに
「しんどいです!」
「めっちゃ腰痛い!」
とゲラゲラ笑いながら申告する私。

「もう少し体を前に倒して」
「落ちますって!笑」

という攻防を繰り広げるさまを
通りすがりの見知らぬおばさまも
「素敵よ!」
「頑張って!」
と応援してくれるという謎の一体感。
なんだこれ。

気持ちが大きく動く面白さ

大騒ぎしながら共に撮影を戦い抜き、
お疲れさまでしたとお互いをねぎらった後も
しばらく談笑しました。

カメラのモニター越しに
「これは〇〇で特選もらったやつ」
「これは〇〇で最優秀賞でポスターになった」
「この鳥が飛び立つ瞬間を撮るのに半日かかった」
など解説つきで、
撮影した写真をたくさん見せてくれました。

それが本当の話かどうかなんてどっちでもいい。
見知らぬおじさまの濃い目の趣味の話、
とても興味深かったです。

で、その経験が何になったのかと言われると、
別に何にもなっていないのですが。

ただ私はこのおじさまとのエピソードを
たくさんの人に話しましたし、
聞いた人はみんな笑ってくれたので
きっと良い出来事だったのでしょう。

見知らぬ人と交流した、その1時間は、
爆笑の意味ではなく(いやまあ爆笑もしたんですが)、
気持ちが大きく動くという意味で
「面白かった」

面白い経験はきっと多いほうがいい。

選ばれたのは服装でした

ちなみに、ずっと斜め後ろから撮影されていたので
私の顔は全く映っていませんでした。
ジーンズにロングアウターを羽織っていたので
体のラインもわからない服装。

葉っぱの緑と山吹の黄色、
そこにブルー系の服を着た人がいる様子を
撮影したかったんですって。

で、みんな黒い服ばっかり着てるなー
青い服着てる人が通りかからないかなー
「いた!!!!!!」
で私に声をかけてくれたようです。

例えば、
正面から私をメインに撮影したいとか、
場所を変えたいので一緒に来てほしいとか
そういう話だったらお断りしたと思います。

危険がないなら、
見知らぬ人とのコミュニケーションは
楽しんだほうがお得
かなと思う派です。

青い服を着ててよかった。
おじさまのお役に立ててなによりです。

撮影:2024年4月22日

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